2004年10月1日金曜日

深刻化する多重債務問題

 

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 クレジットカードが普及し、現在国民一人当たり2枚のカードを所有しているといわれています。 私たちの暮らしは、手元にお金が無くても欲しい物が手に入るなど、大変豊かで便利な社会になりました。
 一方、この便利さの裏側では、全国で150~200万人といわれる多重債務者が発生していることも見逃すことが出来ません。
 多重債務者は金銭ストレスや漫然とした不安の中で生活しており、それが原因で仕事上のミスや事故を起こしたり、また些細なことで職場の同僚とトラブルを起こしたり、家庭不和を引き起こしたりしています。
 そして、最悪の場合、強盗や窃盗、殺人、無理心中などの事件に結びつくこともあります。
 会社にとっても事故がおきたときの損失や回復するまでのコストは計り知れません。まして、マスコミ沙汰になろうものなら企業のイメージが下り風評被害をこうむることも考えられます。
 自治体にとっても、多重債務者や自己破産者が増えれば税金や保険料の滞納者が多くなり行政サービスの低下にもつながりかねません。
 このように多重債務問題は家庭や職場を直撃しており、いまや社会問題となっています。
 2004年度、労福協サポートに寄せられた相談の約70%が多重債務のための融資や整理の相談となっており、決してよそ事といっておれない状況にあります。
  この小冊子では、社会生活上身につけなければならない利息や保証人など、最低限の知識や最近の悪徳商法・架空請求などにも触れており、「多重債務」に巻き 込まれないためのヒントになれば幸いです。また、「誰もが陥る可能性がある。」ということを肝に銘じて、「家族で何でも話し合う」、そして「収入の範囲内で生活する」というごく当たり前の習慣を身につけてほしいと切に願うものです。
2004年10月
労福協サポート運営委員会

深刻化する多重債務問題…。

 クレジットや消費者金融(サラ金)を利用して返済困難に陥っている多重債務者は、少なく見積もっても150万人から200万人。平成15年度の自己破産者は24万人を突破しました。
また、平成15年度1年間に自殺した人は前年より7.1%増えて34,427人となり統計をとり始めた1978年以降最も多くなっています。(警察庁まと め)福島県内の自殺者は661人で経済・生活苦が主な動機となっており、長引く不況の影響を色濃く反映した結果となっています。

金融庁も高校生向け「金融ガイド」発行
自己破産を申し立てている人は多重債務者のごく一部に過ぎません。
 大半の多重債務者は、債権者の厳しい取立てを恐れて返済のための借金を繰り返す「自転車操業」に陥っています。国民の10人に一人がサラ金を利用し、国民一人当たり2枚のクレジットカードを所有しているわが国においては、誰もが多重債務に陥る可能性があるのです。
 最近元気がない、職場に頻繁に電話がかかってくる、同僚や知人にお金を借りている、欠勤が多くなり仕事もうわの空。こんな人が近くにいたら、どうぞ一声かけて相談窓口を紹介してあげましょう。